「傷寒論」を著した″医聖”張仲景の心にしみる言葉

2019年12月14日

11/1にお店をオープンしてから1か月

ご縁があって足を運んで下さった方には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました

未病の方から、重いご病気を患ってご家族で来ていただいた方、病院で病名はついているが治療がないので様子を見るように言われたが不安があり、何とかしたいという思いで来られた方が多かったです

ここに来ていただいた患者様を大切にして、ここに相談してよかった、漢方を飲んでよかったと言っていただけるように真心を込めて、感謝の気持ちを込めて対応させていただきました

当店の柱である中医薬、漢方薬の他、薬膳粥、ハーブティー、薬膳茶、手浴を提供させていただき、お喜びの声も届いていますので、患者様の了解が得られましたら体験談としてご紹介していきたいと思っております

そして12月に入って早々、中医学の勉強のためにお休みをいただいてご迷惑をおかけしました

やはり中医学の世界は奥が深く、教科書通りでは対応できないことがほとんどです。そのため、これからもさらに腕を磨くための勉強と経験は必要と感じております

現在中国で中医師として現役で仕事をされ、一方日本で中医学を教えておられる先生のもとで学んでおります。そのため毎月お休みをいただくことになりますが、ご理解いただけると幸いです

今回中医学臨床講座では2つの「冷え」を主訴とする症例を学びました

患者様の訴えだけを鵜呑みにすると、温める方剤を使ってしまいがちですが、冷えの原因をしっかりつかんで方剤を選ばないと逆に悪化してしまう症例について学びました。ごちゃごちゃの症状をすっきりまとめあげる考え方にはいつも感動を覚えます。素晴らしい先生に出会ったことにもただただ感謝です

傷寒論講座では、悪寒の考え方を深く学ぶため「温病条弁」についても学びました

傷寒論は中国の後漢時代、紀元200年ごろに、当時医聖と呼ばれた張仲景によって著されました。この時代は感染症によって命を落としてしまうため、主に熱性病の治療原則について書かれています

張仲景は当時の医学界の現状を嘆いたとされ、その気持ちを記したのですが、現代にも通じることがあり私自身とても心を打たれたのでご紹介します

エリートたちは誰も医薬に興味をもたず、医術を学んで君主や親の病を治して忠孝の道を行い、下々のものの難儀を救って仁慈の道を尽くし、また自分自身も病気から身を守って健康を保つために養生しないのは、納得のいかないことである

今の世の人々は、ただ見栄を競い権力に憧れ、名声や利益だけを追求している。最も大切な身体を粗末にして世俗のことばかり大切にしている。その結果、外見ばかりを華やかに飾っているが中身は衰えている。皮がなければ毛の生えようもないではないか

人命は何物にも増して尊いはずなのに、惜しくも一命を落としてしまう。何とも痛ましことか

人間はいつかは死すべき者であると覚悟したうえで、命を大切にすることを知らず、結果的に命を軽んじている。大切な命に比べれば栄華や権力にいったいどれほどの価値があるのか。命があってこそ。健康を犠牲にしてまで富や名誉を追い求めるのは本末転倒も甚だしい

そのような生活態度では、外にあっては人を愛し、人を知り、世のために働くこともできず、内にあっては自分を大切にし、おのれの限界を知って自分の健康と寿命を全うすることはできない

大切な身体を犠牲にして物欲に目が眩む有様は薄氷を踏んで川を渡るようなもので、危険この上ないことである

また、張仲景の一族は昔200人以上もいたのに、10年も経たないうちに三分の二が亡くなった。しかも亡くなった7割は当時猛威をふるった伝染病によるものでした。この悲劇を経験し、多くの縁者を若死から救えなかった無念さを思い起こすと、胸は悲しみで一杯である、と嘆いていました。このつらい経験が後に医聖と呼ばれる張仲景の礎となったのです